手をのばせばそこには

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 ほうきで掃いたような白い雲が浮かぶ青空と、柔らかな陽光が降りそそぐ行楽日和。  私は、バドミントン部の仲間六人で遊園地に来ている。男女三人ずつの仲良しメンバーだ。  バスで一時間ほどのリゾート地にあるこの遊園地は、ゴールデンウィークということもあって、たくさんの人たちで賑わっている。  バスから降りると、レールの上をジェットコースターが通り抜ける時のゴゴゴゴゴ……という音と同時に、少しだけ地面が振動した。それから、「ヒャーー」という甲高い叫び声がコースターと共に移動していくのが聞こえてきて、気分が高揚していく。  それは他の皆も同様のようで、彼らは互いに顔を見合わせると「まず何から乗る?」とか「早く早く…」と体を前のめりにさせて、自然と笑みがこぼれていた。    
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