手をのばせばそこには

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 先の方で「おわ!」とか「きもっ」とか「ひぃぃぃ」とか三人が三様の声をあげている。私はその声を聴いて「来る、来る…」と心構えをした。  高遠くんだけは「ハハハッ」と、余裕そうに笑っている。  恐怖のためか、皆は徐々に早足になっているようで、声が少しずつ離れていく。    やだやだ、おいて行かないで……  三人と一緒に高遠くんとも距離が出来て、私だけ一人置いて行かれている気がした。  「ま、まってよぉ…」と情けない声が出る。  すると突然、真横から恐怖を煽る奇妙な効果音がして「ひぇっ」と声がもれた。私の鼓動はドックンと大きく拍動し、それからドクドクドクドクと速くなる。  私は驚いた反動で壁に手を着いた。すると、その壁だと思ったところはガラス窓だったらしく、そこがパッと明るくなり、突如、私の視界に恨めしそうな表情をした長い黒髪の女が飛び込んできた。  「いやぁぁぁぁ!」  私は、慌てて皆に追いつこうと駆けだそうとすると  ──ドン!  すぐ目の前に高遠くんの背中があって、私はその背中に追突した。  「ひゃ…」  「おわ!」
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