あなたへラブソングを

ラブソング

　私を本当に案じて、私がまた歌うことを待っていてくれる。
「うん。ラブソング。今すぐ歌うから聞いてくれる？……とりあえず、ここでは歌わないからさ」
「わかった」
　私の言葉に笑顔で頷くこの存在こそが、今の私が守りたいものだった。
　この笑顔が、透明に歌うあの歌声があれば、私は、「また歌いたい」と思える。
　そしてそれは、音羽も同じだということを、私は知っている。
　だから。
　私は、ラブソングを歌おうと思った。
　彼との恋の終わりに痛みはあるけれど、それでも、新しい大切に思ったものがあることを、音羽に伝えるために。