友人

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友人

私は知らなかった。元友人が異常者だって事を……。  だから私は、元友人から逃げて来た。誰にも住所を教える事なく両親と兄に何も告げずに……  私は引っ越して来た。ここまで来れば安心だと信じて……  それなのにここも駄目なの? 「美奈こんなところまで私を探しに来たの? 誰にも引っ越す事を言わなかった筈……携帯電話も解約したそれなのにこんなところまで調べて来るなんて」 佐藤咲は加藤美奈にそう言った。 加藤美奈も佐藤咲に言った。 「だって、友達でしょう?私達ずっと友達って言ったじゃない?」 佐藤咲も加藤美奈に言った。 「あなたは友達じゃない。もう私に近寄らないで 私を一人にして」 加藤美奈は言った「これから咲と一緒に住むのに何を言ってるの?随分広いアパートに住むんだね。 大きい部屋に住んだのも私と住むつもりで借り たんでしょう?一人じゃあ広すぎるもんね」 佐藤咲は言った「違う。一人でのんびり暮らしたいから広いお部屋を借りたの。もう来ないでお願い。あなたから離れる為にここに来たの」 加藤美奈は言った「さあ、立ち話しも何だから部屋に行きましょう。間取りとか見たいし家具とか揃ってるの?私の好みもあるからなー。カーテンの色とか〜もうテーブルとかカーテンとかベットとか用意したの?私は床で寝るから気にしないでね。枕二つある?一緒に買いに行く?」 佐藤咲は心の中で思った。やっぱり何を言っても駄目だ。美奈は狂ってる。怖い……美奈には話が通じない。  このままだと私は美奈に支配される…… 佐藤咲が加藤美奈に出逢った時は、二人がまだ 小学校6年の時だった。  埼玉川越小学校の6年1組に加藤美奈が転校して来たからだ。  初めは明るくて強いしっかりしている頼もしい同級生に見えた。私はこの時、明るくてしっかりしている加藤美奈と仲良くなりたくて話し掛けた。それがいけなかった。  あの時、話しかけなければ加藤美奈の恐ろしさに気づく事もなかった。そして美奈からこんなに逃げ回る事もなかった。  佐藤咲は激しく後悔していた。
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