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幼馴染
「あーぁ…めんどくさ。一軍女子。」
「何言ってんの。まゆだって、一軍女子じゃん。」
「えー?違うよ。ひろみみたいに可愛くないもん。ひろみこそ一軍女子じゃん。私なんかといるから、二軍なんだよ。」
「そんなことないよ。まゆは、運動神経抜群じゃない。男の子だって一目置いてるしさ。」
「そういうの、モテるのと違うっしょ。ひろみは、めっちゃモテるじゃん。一組のイケメンの小糸君だって、ひろみのこと好きらしいよ。」
「はぁ?やめてよ。何それ。興味ないから。」
心底嫌そうな表情で眉を顰めたひろみは、いわゆる恋バナが大嫌いだ。
まゆからしてみたら、ひろみは顔がちっちゃくてお姫様みたいな整った顔立ちをしていて、当然一軍女子に分類されるべき存在だ。
でも、連むのが大嫌いで性格は見た目と違い男っぽい。ひとり静かにいつも図書館で本を読んでいる。その背中からは、邪魔すんなよオーラを常に出していた。
隣近所で育った幼馴染の二人は、親同士も仲が良くて、幼稚園から小中と同じ学校でずっと一緒に育った。
まゆはと言えば、ちょっと精悍な顔立ちで、逆に男の子のような立ち居振る舞いをする。スポーツが得意で負けず嫌い。後輩女子からは人気があって、よく告られていた。
そんな二人の家は、同じように貧しい。彼らの家は潮風に煽られる高台の古い市営住宅で、醤油やなんかを借りたり貸したりする住民達が肩を寄せ合って暮らしている町だった。
よくある、貧しいのに子沢山。
それで二人は中学を卒業すると、揃って上京することにしたのだった。
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