【短編読切ホラー】殺人お届けします

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 次の殺人現場は徒歩5分といった程度の近さだった。  「ここまで現場間の距離が近いとやっぱり、この町そのものが呪われてますって。それか強盗とか、別の殺しの線を考えた方がいいかもしれませんよ?」  佐藤と御手洗はそのまま、別の殺人現場に乗り込んだ。殺人現場にはすでに他の警察官たちがかけつけて、調べている。  「今度は鈍器でなく、包丁か……」  そういって、佐藤たちは現場を確認する。被害者は今度は男性で、40代半ばの働き盛りだった。現場の鍵はかかっておらず、悲鳴を聞いて隣人がかけつけて事態が発覚したそうだ。    「やたらにこの町で殺されすぎ、というのは同意だがな。そういう怪異は信じないんだ」  「まあ、佐藤さんは純粋に強いんスよ。だから、彼女なし嫁なしで一人だって平気なんですかね。俺なんて、心が弱いから彼女が常にいないと不安ッス」    「関係ないだろ。というか、それは自慢か?」  こわやこわやと両手を合わせる御手洗を尻目に、佐藤は淡々と告げ、ざっくりと状況を整理するために二人は署に戻った。
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