アリの子とジャガイモのポタージュ

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 大体千年ぐらいの時間使い込まれた脳味噌にはあらゆる国と地域の言語が詰まっているが、勉強をしただけで実際に使ったことはほとんどない。まあ、文章を読むのとリスニングができれば充分か。  デデは目的もなく歩いた。巨大化した昆虫に食われないように、凶暴化したクマに食い千切られないように、巨大で高い知能を持つヒトの形をした何かに攫われないように移動したい人々の用心棒をやって報酬を得た。かつてデデが何をしていたのか知る人はとっくの昔に寿命を迎えている。その方がデデには都合が良かった。長生きもしてみるものだ。  多分一ヶ月以上は歩いた。その間にいろんな人々の営みも見てきたし死にも立ち合った。もちろん野良猫の喧嘩も。どの国にいても野良猫の喧嘩は見ていて面白い。
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