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「オオヅアリだ」とデデは声を上げた。ロックは「こいつに噛まれると痛いぞ」とデデに耳打ちするように告げた。
デデは「巣を探す」と言うと再び歩き出した。ロックは足元のアリを避けながらこわごわついてくる。臆病ではあるが案内人の役割は果たそうとしている。その辺りは評価してやろう。
コンクリートと剥き出しの地面の間にポッカリと空いた穴を見つけた。多分ここがオオヅアリの巣穴だ。アリはデデ達のことをまだ敵と認識していないのか、足元に気を付ければ何もせずに巣穴に入ったり近くをウロチョロしている。デデはロックを見遣った。
「アリの卵とか幼虫を取る」
「なんだって?」
「今日のメシは決まった。俺が巣を掘り返してアリの子を出すからロックはそれをいくつか拾って来た道を戻って欲しい」
「逃げていいんだな?」
「アリの子を運んでくれるなら」
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