アリの子とジャガイモのポタージュ

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 デデ自身、オオヅアリの成虫とまともに闘うつもりはなかった。今回の目的は昆虫料理に使う食材調達だ。巨大化した昆虫を滅ぼすのが目的ではない。バチヅルの尖った方を巣穴に差し込んだ。「ちょっと待て心の準備が」と声を上げるロックを尻目にデデはザクザクと土を掘り返した。茶褐色の巨大アリがワラワラと出てきた。兵アリだ。既に脚が反対方向を向いているロックは「うわ、逃げていいか?」と言った。 「まだ駄目」  バチヅルに噛みつく兵アリ。働きアリに比べて異様なまでに大きい頭部には頑丈そうな顎が付いている。デデがさらに巣を掘り返すと白っぽい卵が見えた。「五個ぐらい取っといて」とデデが言うが早いかロックは鶏卵ぐらいはありそうな大きさの卵を掴み上着のポケットに押し込み、入り切らない分は両手に抱えて走り出した。「仕事が速いこと」とデデは呟きバチヅルに噛みついた兵アリの胸を足で踏みつけながら大きな顎を引き離した。ロックを追って走り出した。
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