関係性1

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関係性1

午後三時すぎ、店のドアがバンッと勢いよく開けられた。 ドアベルの音が激しく鳴る。 「「やっほーあらたさん!久しぶりー!」」 「はいはい、いらっしゃい。」 .....ドアベル外そうかな、うるさいし..... 「アキラは言い負かされたのか?こんな時間に来るなんて」 「え〜、やっぱり流石だね~あらたさん....」 アキラは苦笑しながら言う。 「ま、お前のバーでの態度と女好きは知ってるからな。あ、男もか。」 「あは、否定はしないよw」 「せめてもう少し硬派になってくれれば....」 「もう少し硬派って矛盾してねぇか、ヨウスケ」 アキラと双子より少し遅れて、ヨウスケとモミジが入ってくる。 「あらた、コーヒーくれ」 慣れたように言うモミジに、阿久津も普段通り応える。 「はいはい、いつもの?」 「いや、濃いめで頼む」 「ふーん、珍しい。またなんかストレスでもたまってんの?」 そう阿久津が言うと、ヨウスケがにゅっと顔を出した。 「十中八九、原因は風紀ですね。」 「あー、なんだっけ、嫌味なやつーって前言ってた人?」 「そうです!学園ではあまり発言しない男なんですが、『龍』では......」 「っヨウスケ!」 焦ったようなモミジの声に、ヨウスケはハッとする。 「何?りゅう?」 「ぁ.......あー、いえ、りょ、寮です!言い間違えました!」 声が聞こえていたらしいアキラたちもどこかピリついている。 阿久津は、心のなかではぁ、とため息を付いた。 こいつ等は、自分たちが族である、ということを俺が知らないと思っている。 大勢の『不死鳥』のメンバーで来ても、俺には生徒会メンバーで来てるって言い訳できるし。 実は、『俺が知っている』ことを知っているのは風紀だけだ。 贔屓しているとかいう理由ではないのだが、まあ風紀がそのことを知った理由はまた今度話すとして。 街の治安や抗争の話になると、『不死鳥』のこいつ等は途端に話を変える。 俺から聞かない限り話そうとしない。 こいつ等なりに、一般人を巻き込まないようにしようとは考えてるんだろう。 『不死鳥』や『龍』、『白夜』の三つともと関わりがある時点で、無理な話なのに まあこいつ等は俺が他のチームとも話していることは知らないけど。
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