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3 初夜?
「幽閉を…?
なぜですか…?
可愛い娘でしょう?」
「お父さんと呼ぶなと…
一度もお父さんと呼んだ事はありません。
向こうも娘とは思っていないのでしょう。
私は…
私は呪われた娘ですから…」
私は言った。
「どう言う意味です?
呪われた娘とは…?」
シャンベルゼ様が尋ねる。
「それは…
まだ、答えたくありません…」
「なぜ?
私の愛が信用出来ませんか?」
シャンベルゼ様はおっしゃった。
しかし、その言葉に違和感しか覚えない。
いずれは私の事も殺すのに、愛?
笑わせないでよね!
そう思ってしまった。
「では、シャンベルゼ様、24人の奥様が亡くなった理由を教えて頂けますか?」
私はそう切り返した。
「それ…は…
今は言えません…」
シャンベルゼ様は振り絞るようにそうおっしゃった。
「私たちは似たもの同士…
なのかもしれませんね…
もしかしたら…
同じく秘密を抱えていますわ。」
私は言い、食事を終えた。
シャンベルゼ様は何もおっしゃらなかった。
「お腹はいっぱいになりましたか?
我が姫?」
「え、えぇ、ごめんなさい。
がっついてしまって…
明日からはテーブルマナーを守りますわ。」
「いえ、中々見応えがありましたよ。」
シャンベルゼ様は笑いながらそう言った。
♦︎♦︎♦︎
そうして、いよいよ初夜かと思うと、ベッドはちょっとしたお風呂場のように広く、シャンベルゼ様は1番端で眠り、一切私に触れる事は無かった。
私も最初こそ、不思議に思ったものの、疲れていたので、眠ってしまった。
朝。
「ーラ…!
ローラ…!」
私の肩を揺り動かす人がいた。
寝ぼけながら目を覚ますと、それはシャンベルゼ様だった。
「シャンベルゼ…様…
おはようございます…」
「良かった…
もう二度と目を覚ましてくれないのかと…」
縁起でも無いことを言うなっ!
と思ったが、にこやかに「大丈夫ですわ。」と言った。
「寒くは無いですか?
身体が冷えたならば、暖炉のそばに…」
いや、だから、暑いから!
「いえ、大丈夫です。
それよりも、お腹…空きません?」
私が恥ずかしそうに言うと、シャンベルゼ様は大笑いした。
「すぐに用意させましょう!」
何故か、嬉しそうにそう言って朝食を運ばせた。
朝食は、ハンバーグとほうれん草のオーブン焼き、アンチョビとオリーブのトマトパスタ、オニオンフライだった。
相変わらず美味しく、私はフォークで取れるだけ取って口に頬張った。
「あなたの食べっぷりを見ていると私までお腹が空いてきますよ。」
微笑ましく言うシャンベルゼ様。
その視線は愛おしげで、愛されているかのような錯覚を受ける。
いけない!
相手は妻殺しなのよ!
そう自分に言い聞かせた。
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