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4 氷の都市をデート
そうして、城の生活にも慣れてきたその日、シャンベルゼ様は私にこう言った。
「ねぇ、ローラ?
デートしませんか?
私のために目一杯おしゃれしてください。」
「いいですけれど…」
「あなたは幽閉されていたと言っていましたよね?
深い理由を聞く気はありませんが、それならば、外の世界も見たことが無いはずですから。
こんな冷たい都市でよければ、ご案内しますよ?」
そう言われて、私は喜んだ。
窓の外にしか無かった景色に触れる事が出来るなんて!
「あぁ、でも、外は寒いですから、厚着しないと連れていきませんよ?」
保護者のように言うシャンベルゼ様に私は何度も頷いた。
シャンベルゼ様も嬉しそうだ。
私は目一杯おしゃれして、厚手の龍模様の黄金のコートを着た。
「美しい…」
シャンベルゼ様は目を細めてそう言った。
「あ、ありがとうございます。」
「さぁ、では参りましょうか?
奥様?」
「えぇ!」
そして、城から馬車でエターナルの街に降りていった。
エターナルの街は素晴らしかった。
白銀の世界に氷竜の灯籠が灯されて…暖かく街を照らし出し…
銀色に輝く家々は宝石箱のようだった。
「す、素敵…!」
私は言う。
「寒くなったら言うのですよ?
すぐに城に…」
「あら、フローズンゼリーですって!
食べてみても良いですか!?」
「え、えぇ…
食べてみると良いでしょう。」
シャンベルゼ様がイチゴのフローズンゼリーを買ってくれた。
「甘くて、冷たくて、おいひぃ!」
私はフローズンゼリーに舌鼓を打つ。
「あら、ほっとポテトパイもあるわ!」
「えぇ…
この寒さですからね。
温かい食べ物は売れるみたいですよ。
食べますか?
おてんばさん?」
「ご、ごめんなさい…
ついはしゃいじゃって…
あら、あっちにも!」
「こらこら、迷子になりますよ?」
シャンベルゼ様が言いながら笑う。
「では、あの…
手を繋ぎません?」
私は勇気を振り絞ってそう言った。
「…それは…」
シャンベルゼ様は躊躇する。
私はシャンベルゼ様の左手をサッと取った。
「ねっ?
これで、離れ離れにはなりませんわ!」
私がそう言うと、彼は少し嬉しそうに笑った。
「あっちで、氷像祭りがあっているんですよ。
行きますか?」
「えぇ、もちろん!」
私たちは氷像祭りに向かった。
巨大で美しくライトアップされた氷像が、私たちを出迎える。
氷竜の像は1番大きく中央に。
女神や天使、ペガサスなどの像もある。
そして!
なんと、氷の滑り台があった!
「氷の滑り台ですって!
滑っても良いでしょう!?」
「はいはい、お姫様。
転ばないでくださいね。」
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