1 妻殺しの氷神様

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1 妻殺しの氷神様

私の名前は、ローラ=フイオラッテ。   フイオラッテ侯爵家のご令嬢だが、私はある理由で、幼い頃から幽閉されている。 与えられるのは、1日2度のパンとスープたまに、サラダ。 おかげで、痩せて居てガリガリだ。 そんな中、父親が珍しく監禁部屋にやって来た。 お父さん、と呼ぶ事は禁止されているその父親をじっと見た。 「ふん。 薄汚いドブネズミめ。 良かったな。 お前の嫁ぎ先が決まったぞ。 妻殺しの氷神、シャンベルゼ様だ。 良かったなぁ。 お前にしちゃ、すごいところだろう? 何せ相手は神様だ。 くれぐれも粗相の無いようにな。 まぁ、すぐに殺されるんだろうが。 はっはっはっ!」 そう言って、父は牢屋から去って行った。 妻殺し…の氷神様… シャンベルゼ様… 私も嫁いだら、殺されるの…かな? でも、もうどうでも良いや。 この部屋の窓から外を眺めるだけの人生なんて… 疲れた… 私はそう思った。 そして、次の日、持っている服の中で1番綺麗で新しいものを出して着替えて、髪を解かした。 すぐに数人の兵士によって屋敷から出された。 すると、豪華な氷竜の飾りのついた馬車がやって来た。 中から、それはそれは美しい男性が降りて来て私を一瞥すると、「乗りなさい。」とだけ言った。 私はおずおずと馬車に乗った。 中は広く少し冷気が漂っている。 それも、そうか、相手は氷神様だものね。 「ブランケットをかけなさい。 寒いでしょう? ここから、北の地のエターナルはもっと寒いんですよ。」 私はブランケットに包まれて、馬車は北の地に向かって走り出した。 段々と冷えていく馬車の中。 北の地が近くなっている事が分かる。 氷神様は馬車の中でずっと黙ったまま、私もブランケットの中眠ってしまった。 ♦︎♦︎♦︎ 目覚めると、そこは一面氷に覆われた北の地エターナルだった。 「寒いでしょう? あぁ、このコートと帽子を…」 氷神様は言うが、私は寒さには強いのだ。 「いいえ、暑いくらいで… 喉が渇いたのですが… 水はありますか?」 「そ、そうですか… えぇ、ありますよ。」 シャンベルゼ様は少し驚いた顔をして、豪華な宝石の施された水筒を取り出し、私に渡した。 私はブランケットから出てごくっごくっと、水を飲み干した。 美味しい! ずっとブランケットに包まれていたから、汗が… 「シャンベルゼ様… あの、着いたらお風呂に…」 「あぁ、そうですね。 あなたが凍えてしまいますからね。 熱い湯を沸かさせましょう。」 いや、そうでは無いのだが… しかし、説明するのも面倒なので、そのままにしておいた。 「そなたは我が25番目の妻です。 大切にしましょう…」 氷神様は衝撃の事実をおっしゃった。
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