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居間に行くと、湯気のたった美味しそうな和食が並んでいる。
菫さんも薫さんもいない。
ふたりとも着替えに行ったか買い出しか。
そんなくだらないことを考えながら朝食を完食。
カバンを持って家を出た。
空を見上げてふと思う。
___あの日もこんな空だった。
曇天の空模様なのに、風だけが気持ちいいような変な天気。
学校へゆっくり向かっていた、その時だった。
「北条雪で間違いないな。」
ゆっくりと立ち止まる。
「何用だ。」
ピリピリと感じる殺気。
「お前が……お前さえ居なければッ!!」
男の悲鳴に近い声が響いた。
パンッと何かの破裂音がしたあと、激しい痛みと辺りが白くなっていくのを覚えた。
___やっと死ねるんだ。
一抹の後悔と、嬉しさが込み上げてきたのを最後に意識を失った。
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