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第一章 夢と現
子供の頃から何度も同じ夢を見る。
袴を着た男性が走っていく。その背に向かって私は何かを叫ぶのだ。すると男性はゆっくりと振り向く。口元しか見えないその人は、諦めたような顔で笑うのだ。
私は立ち上がって、彼の腕をつかもうとする。でも、かれがその手の甲を手のひらで包む。
私は静かに泣きながら、ゆっくりと笑顔を作る。
彼は何か言うと、私に背を向けてしまう。
場面は暗転し、私は腕の中にあの男性を抱えている。
大声で泣き叫ぶ私の頭を男性は撫でる。が、その腕がスルリと落ちたとき、目覚めるのだ。
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