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「レンアイ、カンジョウ……?」
言われて、初めて考えた。
私はレオンに対して、恋愛感情を持っているのだろうか。
今まで、レオンは共にいるのが当たり前で、結婚して王太子妃になることを運命として受け入れ生きてきた。
けれど、そこに恋愛感情はあるのだろうか。
好きか嫌いかで言ったら「好き」なんだけれど、それが「異性としての好き」なのかどうか問われれば、咄嗟には返答できない。
「……エレーナ様?」
「ごめん、今までそんなこと考えたこともなかった」
そう言うと、マリーが安堵したようにふうっと息を吐き出した。
「安心しました」
マリーが顔を上げ、花のように微笑んだ。
「エレーナ様がブランとお付き合いできるように、私も手を尽くします。その代わりと言ってはなんですが、レオン様と私をハッピーエンドに導いてください!」
マリーが私に手を差し出す。
「……うん、もちろん!」
私はパチンと音を立てて彼女の手を握った。
それから、お互いに微笑み合う。
悪役令嬢なんて言うけれど、悪役にならなければきっと幸せな未来があるはず!
そう信じて、私はマリーに微笑んだ。
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