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互いの推しに押しましょう!
それから、私とマリーは作戦会議をした。
救護室に誰も現れないのを良いことに、二人でベッドの縁に座り、話し合う。
「マリーをレオンに近づけるのは簡単だと思うの」
私が言うと、マリーは「そうですか?」と不安気に眉を寄せる。
敬語はやめて欲しかったのだけれど、急に態度を変えたら怪しまれるだろうというマリーの提案で、彼女は敬語を崩さなかった。
それに、呼び方も「エレーナ様」「マリー」のままでいくことにした。
仲間なのに距離があるようで、少し寂しい。けれど、マリーの気遣いを無下にはしたくなかった。
「レオンはその人柄、困っている人を放っておけないでしょ? 私がレオンをどこかにおびき出して、その道中でマリーが困っていればきっと助けてくれるはず」
私が言うと、マリーは複雑な表情をした。
「エレーナ様は、レオン様のことは何でも分かるんですね」
「まあ、幼い頃からずっと一緒にいたから……」
言いかけて、マリーの気持ちを推し量ってしまい、黙った。
「ごめん、無神経だった」
「いえ……」
マリーにとってはこの上ない羨ましい話だ。
彼女が虐げられ、継母に小間使いのようにされていた間中、私はずっと『王太子婚約者』として、レオンのそばにいたのだから。
「今は、作戦のこと、考えましょ?」
マリーの作り笑顔に、胸が痛くなった。
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