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ブラン様は、ゲーム内では隣国リベルテ王国の王子専属護衛として登場する、モブキャラである。
もちろん、攻略対象ではない。よって、彼主体のストーリーはもちろん、メインキャラクターのようにスチルイラストやグッズがあるわけではない。
元隣国騎士団長として、我が国の騎士団長と語らう話や、リベルテ王国のガブリエル王子と仲良く語らう場面などからしか、彼の人柄を知ることはできない。
それでも、その優しさや飄々と生きつつ芯を持っている人間性、それに黒々とした筋肉は私の心を捕らえて離さなかった。
推し活は、数少ない彼の立ち姿を画面越しに拝むこと。
グッズは自ら楽しむだけならと、自分で作り出した。彼のグッズを作り出すために、手芸をはじめた。
公式グッズがないからこそ、彼が身につけていそうなものや、鎧を模した小物なども、概念で集めた。
そんなふうに、必死にブラン様を推していた。
『自分で幸せは作り出すもの』
これは、その時に覚えたことだ。
そして、今、運の良いことに、ブラン様と同じ世界線にいる。
ならば、幸せは自分の手で掴むしかない。
ブラン様に、近づきたい。
だったら、自分で道を切り開かなきゃ!
ふん、と鼻から息を漏らし気合を入れると、隣にいたマリーが驚いたようにぽかんとこちらを見る。
そんなマリーに、宣言した。
「私は今から、ブラン様に今日のお礼を伝えに行くわ」
それで、彼にお近づきになって、レオンには冷たい態度を取る。
その間に、マリーがレオンに助けられ、恋に落ちる。
それが、私たちの立てた作戦だ。
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