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Prologue 私を取り合う決闘開始!?
「用意、始め!」
隣国リベルテ王国のガブリエル王子の掛け声により、我が国の王太子と元隣国騎士団長の決闘が始まった。
キン、キンと剣を打ち合う2人を、ハラハラしながら見守る。
隣国は広大な土地を誇るリベルテ王国。ブラン元騎士団長はその騎士団を統括していたのだから、強くないわけがない。
彼は騎士団を引退した後、王子の専属護衛となった。王子の来訪に合わせ、我が国にやって来たのだ。
大柄で筋肉質な身体にもかかわらず、彼の動きは素早く無駄がない。
日々の訓練のせいか、鎧の下に覗く黒く焦げた肌が屈強な男であることを示している。
一方で、我がヴィルコーン王国王太子であるレオンは、王族にも関わらず太刀筋は彼に劣らない。
細身の身体で敵の剣を交わし、懐に入っては素早く狙う。
背は高いが身体が柔らかいので、柔軟な動きで相手を翻弄するのだ。
2人の剣が交わる度に、柔らかい金髪が揺れる。美しい蒼眼に白い肌なのに、その動きは一流だった。
王太子の婚約者である私を取り合って行われた決闘。
2人の男性に取り合われるだなんて、夢みたいな状況にも関わらず、私は胸にかかるモヤを消せずに喉をせり上がってくる酸っぱいものを飲み込み続けていた。
――ああ、どうしてこんなことに……。
ブランとの出会いの時を思い出す。
それはちょうど一週間前、ガブリエル王子一行が我が王立学校に来校した時のことだ。
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