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「あ、丸山―、なんか顔色悪いけど、大丈夫?」
マルシェを回っていた猪熊と船岡が戻って来た丸山に声をかけた。
「いえ…あの、三輪さん、船岡さん。私最近ぼーっとしてみなさんに迷惑かけてしまって、すみません。黒谷くんにも怒られて…」
丸山は唇を噛んで頭をさげる。しばし沈黙がおり、その頭に、そっと猪熊が手を置いた。
「まあ、そういうことって誰にでもあるよ。私も20歳のころはアイドルにはまって仕事なんてそっちのけで…」
「え、三輪さんに20歳のころなんてあったんですか?」
「うるさいこというのはどの口かな、船岡くん?」
と猪熊が船岡の首根っこを掴んだ。
「いたいいたい、三輪さん!」
コントのようなふたりのやりとりに、思わず丸山が笑いをこらえられず噴き出した。
「ふふふ」
「まあ、切り替えていこうよ、丸山」
「ええ、あまり反省しすぎないように」
「ふたりとも。ありがとうございます…」
丸山がほっとした顔を見せたとき、海水浴場の方から大声が飛んできた。
「おい!子供が溺れてるぞ!!」
その声を聞き、3人は慌てて海辺の方へ走っていった。
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