烏川町 町役場地域課クロウラー担当 黒谷工

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 クロウラーの中身は黒谷とばれてしまったが、逆に「中身は怖い顔の正義のヒーロー」として黒谷の数々の行動がSNSで注目され、メディアに引っ張りだこになった。黒谷の正義感溢れる行動は話題を呼び、クロウラーは中身もイケメンだ、と女性ファンや、子どもたちがヒーローショーに詰めかけるようになった。クロウラー効果で町の経済も潤い、町長もご満悦で、照井も町長に褒められまくっているのか機嫌が良い。 「黒谷くん、話題になってるね。よっ!イケメンヒーロー!」 と或る日の昼休み、照井はにこにこしながら新聞に目を通す。 「やめてくださいよ、課長。イケメンなんて柄じゃないし」 「黒谷がヒーローとは驚いたわね。あー、それにしても黒谷と丸山がくっついてよかった。あたしはこうなるんじゃないかと思ってたよ」 と猪熊が丸山の肩を小突いた。 「彼氏がもてもてで、やきもちとか焼かないの?」 と船岡が呟いた。 「いや~、黒谷くん、浮気とかしないので…」 「うわー、幸せそう」 「そんなこと言って、三輪さんと船岡さんもふたりでご飯いったりしてるでしょ?」 「え、ななななんのこと~?」 と猪熊と船岡が頬を染める。 「それじゃ、僕、地域の見回り行ってきます」 と黒谷が手を挙げた。 「「いってらっしゃーい」」  と4人が見送る。丸山はにっこりと笑いながら、スマホの待ち受けを眺める。そこには、クロウラーではなく、照れたように微笑んだ素顔の黒谷が写っている。 烏川町役場職員、黒谷を巡るにぎやかな日々は今日も変わらず続いている。 END
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