甘いため息ーーイケないお兄さんは好きですか?

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 その後は他愛のない話をして、何処にでも居る大学生の日常を過ごす。  ーーSNSを華やかに彩る出来事はないが、私はそれでいい。それがいい。  平穏を噛み締めていると携帯電話が震える。どうやら和樹お兄ちゃんがランチの様子を送ってきたみたいだ。 【ハンバーグをお弁当にいれてみた!】 【果穂ちゃんが作るハンバーグが一番美味しい】 【前もって夕飯のメニュー教えてくれたら早く帰るのになぁ】  等々、思わず心が弾む文面が並ぶ。 (はぁ、またお世辞を言ってる)  しかし、お兄ちゃんとのやりとりをスクロールする人差し指は本音と建前の判別にたけ、スタンプでの応答を選択する。  それからほんの少し棘を含ませた発言をした。 【そんな風に言って帰ってこないくせに! 正樹へ告げ口しちゃうよ】  とっくに成人しているお兄ちゃん。朝帰りしようが、出先で泊まってこようが本来は自由である。 【あー、正樹経由で両親に知られたら困るなぁ、生活態度を改めろって説教だ。実家へ戻ってこいとか言われるんだ】  ちなみにおじさん、おばさんは和樹お兄ちゃんが特定の恋人を作らないのを心配しているだけで、着実に出世していく仕事面には信頼を寄せている。 【お説教してくれる人がいるだけ】  ここまで打ち込み、はっとした。  再びスタンプで本音を押し潰す。
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