甘いため息ーーイケないお兄さんは好きですか?5

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 俯いて唇を噛む振りして、お兄ちゃんの横顔を盗み見る。  その他大勢に含まれない優越と疎外感が胸を複雑に締め付けた。  「またそんな事言っちゃって。いつかお兄ちゃんが本当に好きな人と出逢った時、そんな態度でいたら信じてくれないよ?」  お兄ちゃんに釘を刺す、そして私にも。 「……そうか、それは困るな」 「ふふ、でしょう?」 「果穂ちゃん、俺が悪さしないように見張ってよ。ね? お願い」 「見張るって?」 「本当に好きな人に好きだって言える時まで、告白を信じて貰えるように見張って欲しい」  和樹お兄ちゃんは絶対破らない約束を交わす際は指切りする。  見張るというのは側に居ても良いとの言い回しであり、私を1人にしないって意味だろう。 「わ、私でいいの?」 「果穂ちゃんがいい。こんな事、果穂ちゃんにしか頼めないから」  お兄ちゃんに本気で好きな人が出来るまでの間、妹としてでもいいので側に居たい。  そう願って指を絡める寸前ーー夢の世界がビリッと音を立てて破けた。 「はっ!」  夢の壁がハラハラ散るのを瞬くうち、自分に覆いかぶさっているのが金髪の彼だと認識する。 「起きちゃったのか、残念〜」  捕食者みたく狙いすました瞳。爪先から頭にかけて嫌悪が巡った。 「な、何を! 離して!」  知らぬ間にはだけた胸元に悲鳴を上げ、抗う。しかし抵抗虚しく、腕は縫い付けられる。バタバタ足を動かすが効果はない。 「嫌! 嫌ぁ! 触らないで! 酔わせてどうこうしないって言ったのに!」 「あは、そんな嘘を信じちゃった? バッカじゃないの? 果穂チャンは大事に育てられたお姫様だなぁ〜。ところで俺が高校生の頃、果穂チャンに告ったの、覚えてる?」
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