甘いため息ーーイケないお兄さんは好きですか?6

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「ふぅ」  また、ひと息。  棚の上の写真立てには、和樹さんと想いを通じ合わせた数年後を飾ってある。  正樹は私達が結婚すると同時期に海外出張が決まり、今やあちらの水の方が合うらしい。 【それでは次の問題です】  留美はアナウンサーの道を進み、活躍している。まだ先の話だけど私が職場復帰する際は、最前線で働く彼女に助言を仰ぎたい。  みんな、それぞれを歩んでいる。  ポー、ポー、ポー、鳩時計が鳴った。 「はぁ……」 「あれ、疲れちゃった?」  サンドイッチを持った和樹さんが隣へ腰掛ける。 「ううん、そうじゃない。あの鳩時計、和樹さんがひとり暮らししている時から使ってるよね」 「うーん、そうだったかな?」 「今はあなたが側に居てくれる」  鳩時計を数え、寂しくなる夜はやってこない。  寄り掛かると肩を抱いてくれた。それからお腹にも手を添える。 「果穂は1人じゃない。俺がいて、この子もいるんだ」 「うん」 「愛してるよ、果穂」  天国のお父さん、お母さん。  私は今、幸せなため息をついてます。 おわり
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