甘いため息ーーイケないお兄さんは好きですか?2

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甘いため息ーーイケないお兄さんは好きですか?2

■  四十九日の法要はつづかなく終えられそうだ。遠方から来てくれた親類等を見送り、良く晴れた空へ白い息を吹き掛ける。  正直、両親の死を実感出来ないでいた。書面上は居なくなったが、この世に1人にされる喪失感はまだ襲って来ない。  親戚の人に淋しくなるのはこれからって言われたものの、たぶん私は訃報を聞かされた時点から耐え難い気持ちを体外へ少しずつ排出したのだと思う。 「ーーはぁ」  また、ため息。つくと幸せが逃げると注意されるが、もはや癖かもしれない。 「果穂ちゃん」  ふいに声を掛けられ、振り向く。 「和樹お兄ちゃん!」  実家のお隣さんという間柄でありながら親族より私をサポートし、法要の場にも顔を出してくれる。  そんなお兄ちゃんの顔をみ、自覚してなかった緊張が解れた気がした。 「ーーふぅ」  肩の力を抜き、息を吐く。 「ねぇ果穂ちゃん、お腹空いてない?」 「え? あ、あぁ、お弁当ならあるけど?」  親族へ振る舞った仕出し弁当は多めに注文してあるので、お兄ちゃんだけでなく正樹達の分も持って帰って欲しいと付け加える。 「俺、礼服じゃないし。果穂ちゃんの顔を見て帰るつもりだったから」  セレモニーホールへ案内すると、首を横に振った。 「そっか。じゃあ、ここで待ってて! お弁当持ってくるね」 「いや、そうじゃなくてさ。果穂ちゃんはちゃんと食べてる?」  駆け出す手前の袖を掴み、じっと見詰めてくる。
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