閑話

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閑話

「私としてはね、一回くらいは、『こーゆーの欲しかったんだー!』って喜ばれたいんだけど。これまで一度も成功したことないよね」 「ああ、俺はそういうやつだと色々な人から言われている。オカンからも『あんたに何買っても喜ばないからもう買わない!』って匙を投げられた」 「うん。お義母さんからも、服を買ってあげるように頼まれてるけどさ。あんた、人に買われるの嫌がるから。」 「だって、自分で選びたいんだよ」 「じゃあ、いつまでもボロいの着てないで買いなよ」 「だって気に入ってるんだから大事に着たいじゃない」 「マグカップは、文句言ってばかりで気に入ってる感じしなかったけど?」 「使えるんだから勿体無いじゃない」 「じゃあ文句言いながら使わないでよ」 「だったら、そっと捨ててよ、そしたら自分で選ぶから。」 「自分で捨てなよ」 「使えるのに勿体無いだろ(2回目)。俺から、俺が選ぶ機会を奪わないで。  結局みんな、俺に自分の意見を押し付けたいんだろ?」 「押し付けって!私が贈りたかった気持ちは…」 「だってそれはあなたのお気持ちだし」 「じゃあ、私も私をあなたに押し付けたから、あなたが結婚相手を選ぶ機会奪っちゃったね〜ごめんね〜離婚だね〜」 「え〜!なんでそうなるの!  komachiちゃんにご飯最初に誘ったの俺だったじゃん…(モジモジ)」 「……じゃ、じゃあさ…、あんたが喜ぶものって何?」 「おはぎ、とか、アイス、かな…」 「…消えモンばっかやな……」 「……マグカップも使いやすいって言ってるじゃん。そのうち馴染むさ」 夫の操縦は難しい。
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