退院

4/8

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
この酷い口内炎と、喉の詰まった感で、糊状にしたご飯も、喉を通らない。 茶碗蒸しの卵部分と、小さなプリンしか、食べられなかった。 口内炎の痛み位は、我慢できるが、この喉を塞ぐ様な感じは、何だろう? 翌日、娘夫婦は、この連休中に、どうしてもしなければならない事で 県外に出かけた。 その日から、私の喉は完全に塞がってしまい、何も呑み込めなくなった。 唯一食べられていた、あのプリンさえ、喉を通らなかった。 水も飲み込めず、終いには唾液すら飲み込めず、ティッシュで拭き取る。 する事も無く、ぼーっとテレビを見ていると、連休の所為か、どの局も グルメ番組ばかりで、美味しそうな料理や、スィーツが これでもかと、映し出される。 それを見ると、お腹は、ぐうぐう鳴るのに、喉は、塞がったまま、、、 そんな日が、三日過ぎると、ちょろっと、申し訳程度に出ていた 一日一回の、おしっこも、全く出なくなってしまった。 無理も無い、全く水が飲めないんだから、、、 吞気な私も、流石に、これはヤバいと思う。 ダンジョン一階の入り口で、もう、やられてしまうのか、情けないな~ これじゃ、ラスボス(癌)で死ぬ前に、副作用で死んじゃう事になる。 まぁ、それも運命なら、仕方ないけどと思う。 苦しい三日が過ぎ、5月5日を迎える。 娘夫婦も戻って来て、何時もの日常になった。 その日の夕方、喉一杯だった塊が、少し緩んだ気がした。 試しに、温いお茶を飲んでみると、通った!!飲み込めた!! 飲み込む時に、喉は痛く、ほんの少ししか飲めない。 それでも、二時間おきに、少しずつ少しずつ、飲む。 そして、これなら、あのプリンが食べられるかもと、食べてみる。 食べられた!!嬉しい!!嬉しい!!有難う!!と このプリンと、買って来てくれた娘に感謝する。 文字通り、水が切れて萎んでいた私の体に、見る見る水が行き渡り ベットから、立ち上がれる様になった。 物を食べるという事は、こんなに大事だったんだと、痛感する。 そして、翌朝、おしっこも出た~~これも大きな喜びだった。 その喜びも束の間、プリン以外の物を食べると、糊状のご飯でさえ 喉を刺激し、咳が出る、その咳の刺激で、さらに咳が出て、止まらなくなる。 その激しい咳は、弱った体に堪える。 折角、喉の塊が緩くなり、何でも食べられると喜んだのに また、プリンと飲み物だけの生活に、もどった。 副作用と言う魔物は、なかなか手強いな~~ それに立ち向かう武器も、防御する盾さえ持たない私 これから先、どんどん押し寄せて来る敵と、戦えるのか?不安だった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加