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すると、Yちゃんは「お母さん、処方箋を出したら、家に帰って下さい。
俺が、後で薬は貰いに行きますから」と、言って呉れた。
「お願いします」と、頼んで、よろよろと、いつもの薬局へ行き
「待っていられないので、薬が出来ても、置いておいて下さい。
後で取りに来ますが、本人で無くても良いでしょうか?」と、聞く。
「はい、構いません」と、言う事で
Yちゃんは、私を、マンションの玄関前で降ろし
仕事へ行く前に、薬局へと向かった。
私は、最後の力を振り絞って、エレベーターで家まで着き
部屋に入ると、持っていたバックを、その場に、どさっと置いて
そのままベットへ倒れ込み、眠った、目が覚めたら、もう夕方だった。
三日も、飲まず食わずだったので、体力が無いとはいえ
娘が居ないと、こんなに大変なんだと、改めて、娘の有難さを痛感し
Yちゃんにも、すっかり迷惑を掛けたと、申し訳なく思う。
手術だけで、後の治療は要らないと言われて、娘たちに掛ける迷惑が
少しで済むと、喜んでいたのに、、、
それから二日、相変わらず、喉を刺激すると、咳き込むと言う
苦しみが、治まらない。
11日の土曜日、娘が休日だと言うので、喘息の薬を貰う為に
内科へ行き、喉の不調と、口内炎が、治らない事を訴えた。
先生は、吸入薬の種類を変えてくれ、うがい薬も
刺激が無い物を出してくれた。
すると、翌々日には、喉にくっついていたイガイガが、すっかり取れ
何を食べても、咳き込まなくなった。
口内炎の方も、少しずつ痛みが減って行き、腫れていた唇も、元に戻る。
そして、プリンや、お粥だけで無く、ご飯も食べられる様になったのだ。
やった~っ、先生、有難う!!私は、大喜びで、ご飯を食べる。
お腹が減っていても、食べられなかったご飯、、、
こんなに美味しかったんだと、夢中で食べる。
身体も、今まで食べられなかった分を、取り返せと言わんばかりに
食べる事を勧め、しわしわになっていた腕の皺も、伸びて来た。
食べるって、凄いな~と、また思ったが、その頃から、脱毛が始まった。
一度のブラッシングで、ブラシの周りに、ライオンの鬣かと思う位
どっさり、髪の毛が抜ける。
若い頃、山の上から石を投げたら、美容院に当たると、言われる程
美容院が多い街に住んでいたが、その沢山の美容院の、どこへ行っても
私の髪は、上手くセットして貰えなかった。
毛量が、他の人の三倍ほども有り、太くて、腰の強い髪の毛だったからだ。
どこかに、私の髪を、うまくセットしてくれる美容院は無いかと
あちこち、彷徨って、その街でも、特別大きな美容院へ行った。
だが、そこの美容師さん達も、手を焼き「先生を、呼ぼう」と
店のオーナーでも有る、男性の美容師さんを呼んだ。
その人は、長い私の髪を(短くすると、直ぐに成長する髪だったので
しょっちゅう、切る事になるので、長くしていた)
くるくると巻いて、縦ロールに仕上げた。
「わぁ~とっても素敵です」と、店の皆は、流石、先生と拍手する。
私も、上手くまとまったと、満足だったのだが、困った事に
まるで、マリーアントワネットの時代の様な髪なので
普段着る、カジュアルな服を着ると、恐ろしく場違いな感じになる。
仕方なく、出掛ける時は、いつもワンピースと言う事になってしまった。
そんな髪の毛も、歳を取って毛量も少なくなったと、思っていたが
怖いほど抜けているのに、まだ、髪の毛は、半分程残っていた。
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