ラスボス（癌）との戦い

入院する

翌日、4月27日、吐き気とむくみを押さえると言う、デカドロンと言う
薬を、朝夕飲む事になった。
同時に、血圧が高めなので、血圧を下げる薬も飲む。
抗がん剤の所為かも知れないが、私は、寝不足になると、血圧が上がる。

ここに来て、連日の寝不足なので、血圧が上がっても、不思議ではない。
娘が、面会に来ると言うので「割り箸を持って来て」と、頼む。
「割り箸？持って行ったんじゃないの？」
食事の度に、お箸を洗うのが面倒な私は、今回は、使い捨ての割り箸にした。

「それがさ～入院、七日位だからと、予備３本入れて
１０本しか持って来なかったの、だけど、食事は日に３回だからさ～」
「プッ、馬鹿なのかな？」と、娘に笑われてしまった。
面会に来た娘に、隣のBさんの、うるさい話をする。

誰かに聞いて欲しかったからだが、そんな人も居るんだよね～と
娘が、同情してくれたので、ちょっと気持ちが楽になる。
冷蔵庫に、カードを入れて、使える様にし
娘が、山の様に持って来てくれた、お茶やスポーツドリンクや

水を、冷蔵庫に入れる。
しっかり飲んで、体内の抗がん剤を、洗い流さないといけないのだが
私は、水や、お茶等を飲むのが苦手で、、、なかなか減って呉れない。
それでも、おしっこは、日に４～５回出る様になったが

ウンチは、全く駄目だった、便秘の薬も貰って飲んでいるが
それでも、駄目だった、この前の入院の時も、一週間、出なかったからな～
その所為か、お腹が張って、ご飯が、ちょっとしか食べられない。
湯欝な私の隣で、Bさんに、シャワーしても良いと言う許可が出た。

Bさんは、シャワーは嬉しいが、手術した傷は、大丈夫なのかと
何時もの様に、来るナースさん、全員に、しつこく聞いている。
「大丈夫ですよ、しっかり保護されていますからね」
傷が、大変な事になるなら、許可が降りる訳が無い。

やっと納得して、シャワーして来たBさんは
「久しぶりだから、どこも、ここも、洗いまくった」と、満足そうな声で言う
それは良かったのだが、ベットの上に、脱いで行った弾性ソックスが
片方無いと、大騒ぎし、ナースさん達に、探して貰ったが、どこにも無い。

Bさんは、ナースさん達だけでなく
やって来た、リハビリの先生にも、泣く様な声で訴え
優しい先生は、ベットの下やら、ベットの向こう側まで、時間をかけて
真剣に探してやる、私は『どうせ、他の物に紛れていて

お風呂場に行く途中で、落としたに違いない』と、思っていた。
夕食が終わっても、まだ見つからず、Bさんは、やって来たナースさんに
「もう、見つからないと思うから、新しいソックスを買います」と、言った。
すると「あのソックスは、歩けない人が履く物です、Bさんは

これだけ、しっかり歩けていますから、買う必要は有りません」と、言われる
「そうですか、買わなくて良いんですね」Bさんは、弾んだ声で言う。
新しく、買わなければいけないと思って、必死で探して貰っていた様だ。
夜になって「Bさん、ソックス、落とし物として、届けられていました」

と、ナースさんが、ソックスを持って来た、やっぱり、私が思っていた通りだ
「まぁ、親切な方も、居たものだね～」もう、ソックスには、興味が無いのか
Bさんは、それだけ言って受取り、やっとソックス騒動は終わりになった。
のだが、、Bさんは、また、何度も何度も体温を測り、ナースさんを呼ぶ。