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「どうしました?」と、駆け付けたナースさんに
「見て、熱が36度8分も有るの、きっとシャワーをした時
何かの感染病を貰ったんだわ」と、言い出す。
Bさんの平熱は、どれ位か知らないが、36度8分って
平熱より、ちょっとだけ高いかな~って部類じゃない?
しかも、ついさっきのシャワーで感染して、もう熱が上がるって
とても考えられない事だけど、、、
ナースさんは、絶対お風呂場で、感染したに違いない
と、何度も繰り返す、Bさんの話に、相槌を打ちながら、じっくり聞くと
「もし、これ以上熱が上がる様であれば、先生に電話して、相談します。
これ以上、熱が上ったら、ナースコールで呼んで下さい」
と、言って、帰って行った。
まだ納得していない様な、Bさんは、それから5分おきに体温を計っていたが
それ以上、上がるどころか、却って下がって行った様で
結局、ナースコールはしなかった。
その夜も暑くて、なかなか眠れない私だったが、それでも、うとうとし
金色の幾何学模様が、右下から斜め左上に向かって
静かにスクロールすると言う、美しい夢を見た。
『なんて綺麗なんだろう』と、思っていると、今度は、薄桃色と
薄紫を合わせたような色と、白色が重なった、五角形の模様が現れ
まるで波の様に、ゆっくりと上下に動きながら
同じ様にスクロールして行く。
『わぁ~この模様も、素晴らしいな~』と、思っていたら
今度は、薄い緑と濃い緑、二色が重なっている、三角模様が、現れた。
『わぁ~これは、新緑の森のイメージだわ』と、思う。
爽やかな風を思わせる、青の模様、夕焼けを思わせる赤い模様
次々と現れる、不思議な模様に、うっとりとしていると
突然「うおっ~~ほっほっほ~」と言う、魔女の高笑いが響き
美しい夢は、消えて行った。
そして、もう一度「うおっ~~ほっほっほ~」Bさんの寝言だった。
その後は「そうじゃ無いわ、、0△◇、、むにゃむにゃ」と
お決まりの寝言が続く。
魔女の高笑い、、アニメ以外で、あんな笑い声を聞いたのは、初めてだった。
いったい、Bさんは、どんな夢を見ているのだろう?
もしかしたら、私以上に、ファンタジーな世界が、好きなのかも、、、
美しい夢は破られ、それ以降、朝まで眠れなかった私は、そう思った。
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