入院する

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翌日28日の日曜日、向のベットのMさんが 食器を下げに行った私を手招きし「寒くないですか?」と、小声で聞く。 「いえ、全然」と、言うと 「良かった~暑くて眠れないので、勝手に室温を、三度下げたんです」と言う 何で、勝手に下げたのかは、直ぐ分かった。 何かと、うるさいBさんに、知られないためだと、、、 「私も、暑くて眠れなくて、扇子で、扇ぎながら寝ていたんです。 よくやってくれました、本当に有難う」私も、小さい声でお礼を言い 今夜からは、気持ちよく眠れると、感謝した。 そのMさんは、まだ20代の若い方だったが、私と同じ手術をしたそうだ。 その後、手術前から感染していたらしい、細菌で、肺炎になって 酸素ボンベが無いと、呼吸が難しいと言う、大変な事になっていた。 それでも、誰にでも元気な声で応対する、物凄く明るい方で 若いのに、気持ちの良い人だな~と、感心していた人だ。 その人が、声を潜めて、Bさんの、ベットを指さして言う。 「あの人、自分を、何様だと思っているのかしら」と ナースさん達に、何でもやらせるBさんの言動に やはり、Mさんも、怒っていた。 「忙しい先生を捕まえて、スシローの話をしたり、靴下が無いと 大騒ぎして、ナースさん達に探させただけじゃなく、リハビリの先生迄、、」 Mさんも、私と、全く同じ事を思っていた様だ。 ナースさん達を、まるで召使の様に、こき使うBさんは 自分の事を、女王様だと思っているのじゃ、無いだろうか? ふと、そう思ってしまった。 話をしていると、Mさんと私は、共通する所が多く 住んでいる所も、案外近い所だと知る。 私が行く、近所のスーパーに、Mさんも、しょっちゅう来るそうだ。 「退院したら、そのスーパーで、会えるかも知れませんね~」 Mさんは、嬉しそうに言う。 「その時は、近くのカフェで、お話ししましょう」と、私も心を弾ませる。 年齢は、うんと離れているのに、こんなに心安く、話しをしてくれるなんて 「入院して、直ぐに貴女と、知り合えていたら 退屈せずに済んだのにね~」と、私は、残念だった。 Mさんと話せて、気分の良い私が、ベットで横になっていると Bさんが、担当の先生に「私だけ、特別な食事は嫌だわ 他の皆さんと、同じ食事にして下さい」と、言った。 先生は「食事は、病状や、回復状態に合わせて出していますから それぞれ、違います、Bさんには、Bさんに合った食事を、出しています。 他の人と一緒という事は有りません」と、噛んで含める様に言う。 術後は、一分粥、翌日は三分粥、その翌日は五分粥と 主食も、少しずつ、変わって行ってるでしょ?まるで子供みたいだな~ そう思っていたら、次に来たリハビリの先生に 「私、悪い事を考えると、食欲が無くなって、何も食べれ無くなるんです」 と、訴えている、ええっ、さっきの昼食、お粥を、ずるずる食べてたよね? 「全く、食べられないのですね?」と、リハビリの先生は、心配する。 「いえ、ご飯は食べています、でも、おかずは、全く食べられなくて、、」 と、いつもの様に、ああだ、こうだと話しが、長くなる。 「では、もう普通の、ご飯が良いんですね」と言う先生に 「いえ、やっぱりまだ、お粥で、それに、梅干しが欲しいです」 「梅干ですね、普通のと、練り梅と、どっちが良いですか?」 「普通の梅干しにして下さい」「分かりました、その様に伝えておきます」 と、言う事で、リハビリの先生は、やっと解放された。
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