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執事のネスが紅茶を淹れながら僕に聞いてきた。チビちゃんを拾ってだいぶ経つ。僕が毎日散歩に誘っているから気になったみたいだ。コイツ生き物に関心がないから今まで聞かれたことなかったけど。
「ぐるぐる巻きで串刺しで丸焼けになってる最中だった」
「おやおや。想像の三倍過酷でした」
「なんでそんな中途半端な倍数なの、せめて普通に倍にしてよモヤモヤする」
そんな状態になってもチビちゃんは生き延びた。でも最初はご飯食べられなかったし、悪夢にうなされてひきつけ起こすし突然癇癪起こして吠えるし大変だった。
今ではお座り、お手、伏せ、待てはできるようになった。本当に可愛くていい子だ。いじめてた奴ら許さん。
「やっぱり散歩させたいなあ。子犬ときゃっきゃうふふするの、夢だったんだけど」
「あなたの事は信頼して感謝はしてるんでしょうけど。怖がっているなら無理させずとも良いでしょう」
「僕は怖いものっていうのがよくわからない」
「そうでしょうね。怖いものなしアッ君と呼ばれただけあります」
今まで怖いことにあったことがないからチビちゃんの気持ちはわからない。弱いものを虐げるという気持ちもよくわからない。
「強い子に育てよう、それしかない」
「その時は躾を厳しめでお願いしますよ。私にまで噛み付いてきたらたまったもんじゃありません」
「犬って順位性があるらしいから。頂点が僕、次がネスにすれば大丈夫だと思う」
「仕方ないですね、餌やりから始めましょうか」
「じゃ、今日の午後散歩ね」
さて、どうやって連れていくか。あとどこに行こうかな、ドッグランとかかなあ。
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