これが勇者の剣の真説

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 警備の任務は、一週間で終わる。その後は、別の生徒と交代となる。初任務の日、午前中の授業を終えて、セオとレイは勇者の剣の礼拝堂に二人で向かった。決められた時間の前に、現場に到着した。指導係である研究生五年のキティは、すぐに姿を見せたが、ピートはギリギリの時間になって現れた。 「これで全員ね。私は、指導係のキティよ。よろしくね。」 「よろしくお願いします。」 「警備の基本は、すでに習ってきていると思うから、その通りにすれば大丈夫よ。あとは、もう時間なので……実際に警備の任務に当たってもらいながらにしましょう。」  キティはそう言って、三人に警備の配置を指示した。勇者の剣の礼拝堂は、そんなに広い場所ではない。出入り口は二箇所ある。セオとレイ、ピートの三人と交代で、午前中から警備をしていた魔法学校の生徒は、任務を終えて帰って行った。  二箇所の出入り口に一人ずつと、勇者の剣の近くに一人、そういう配置で三人はキティからの指示を受けた。礼拝堂のため、ここを訪れる人は勇者の剣に挑戦する人だけではない。そのため、礼拝に訪れる人の邪魔をしないような立ち位置で警備をするように、キティからは言われた。  セオとレイは出入り口に立ち、礼拝堂内で問題が起こらないように、出入りする人々を見張った。パラパラとしか人は訪れないため、そうそう問題は起こりそうにない静かな雰囲気を、セオもレイも感じていた。勇者の剣の礼拝堂は街はずれに位置しているため、人々の足が向きづらい場所ではある。その分、静かでいいとは考えられる。
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