31人が本棚に入れています
本棚に追加
「紫暮さんとはどうなの?」
「紫暮さんの家に泊まったりお休みの日に南魚沼まで遠出したりしてるよ。」
沸々と沸いてきて溢れそう。
「そう.....なんだ。」
「す、翠菖っ?」
ハンカチで拭こうとしたら茉梨が手を伸ばして私の涙をタオルハンカチで拭く。
「茉梨は紫暮さんの事が好きなの?」
何で茉梨に聞いてるんだろう。
「好きじゃないよ。それに、去年のクリスマスイブから昨日まで大好きな翠菖と2人でお出かけしたくてしょうがな.....あっ」
「え?」
「な、何でもないよ。す、翠菖とお出かけできて嬉しい」
「私も久々に茉梨とお出かけできて嬉しい。」
「う、うん。」
茉梨の事抱きしめたくなる。
支払ってレストラン夕凪から出て海沿いの駐車場に駐め、茉梨と砂浜の階段に座って朦々たる赤とオレンジの空を眺める。
船と空と地平線、そして
「......っ。」
ダークブラウンの瞳、横顔。
海風で茉梨のモカブラウンの髪が靡く。
「...翠菖、柊大と何かあった?」
「うん.....。柊大と離婚した」
「えっ.......?翠菖...っ」
茉梨に包み込まれ、晩陽が濃い青に沈み
宵と淡い白に近い黄色の繊月が灯る。
最初のコメントを投稿しよう!