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コンビニからWolf moonまでの道のりの途中で
雪が止んで青空が見えてくる。
濃い青空。
東区に入る。
Wolf moonに到着して車から降りようとしたら唇が重なる。
「んっ。」
長い口づけ。
そういえば21の頃、大学のサークルの飲み会の時に酔っ払った茉梨にキスされた事があった。
あの口づけで彼女を意識してた時に柊大とカジュアルバーで出会った。
「翠菖?」
「あ...ごめん。Wolf moonの中に入ろう」
「いや。翠菖、先にWole moonの中に入ってて」
「うん.....。」
寂しい。
男性の方が多い。
いや、心が女性の方とかノンバイナリーの方とか居るかも知れない。
Wolf moonは文房具やレターセット、ストリート系の洋服、アクセサリー、クール系のステッカーが揃っている。
あ。
月のステッカー。
柊大が好きそう。
あとは、茉梨が好きそうなジャスミンをモチーフにしたペンダント。
星空が描かれたレターセット。
欲しいけど次にまた来た時に購入しようかな。
レジに並び、月のステッカーとジャスミンをモチーフにしたブレスレットを買う。
あれ?
柊大は......?
Wolf moonから出て見渡すと、
彼がベンチに座りながら私には見せない愛おしそうな表情で電話してる。
複雑。
柊大が私に気付いた。
「星、悪い。ちょっと待ってて......翠菖!」
「!うん。」
柊大の車のキーをキャッチして鍵を開け、
助手席に乗る前にエンジンをかけて暖房を点ける。
星くんと電話してるんだ。
泣きそう。
運転席側のドアが開き、柊大がぎょっとした表情をしながら私を抱きしめてくる。
「翠菖、星とは何も無いから。」
それなら結婚式の日に星くんと夜中から会ったりしない。
「本当?」
「う、うん。本当」
どもってる。
それに、柊大の頬がピンクに染まってる。
「そう。柊大、離して」
「翠菖ごめん。これ」
柊大が私から離れて爽やかな青の紙袋を差し出す。
中には、私がさっき購入しようか迷った星空のレターセットが入ってる。
「ありがとう。」
嬉しいけど、柊大と星くんとの事で複雑。
「どういたしまして。急なんだけど、これから茉梨や星とここで合流する」
「え......。」
10分後、茉梨の薄いピンクの軽のワンボックスが隣に停まった。
柊大が車から降りて茉梨と話している。
彼が助手席の窓を叩く。
「翠菖ごめん。茉梨の車の方に乗って」
柊大が星くんと二人きりになっちゃう。
「分かった。」
彼の車から降りて彼女の車の助手席に乗ったと同時に茉里が私の頭を撫でてくる。
「翠菖、私とデートする?」
「もう。茉梨何言って」
ジャスミンの香り。
「冗談だよ。」
シートベルトを締め、茉梨が車を走らせる。
しばらくして東区のラーメン屋さんに到着して
彼女が柊大の車の隣に駐める。
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