ロープ

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 智己との短い通話が終わった。内容はよく理解できた。  智己のお願いは同じ大学生からしたら、至極真っ当なものなのだろう。それは理解出来る。じゃあ、受け入れる事ができるか、と言えばそれは別だ。でも、だ。受け入れざるを得ないのだろう。胸に宿っていた期待感はしこりに変わった。そして俺を縛るものは続いていく。 「誰のおかげでここまで来れたと思ってるんだ」と俺は口に出してみた。誰にも聞かれない言葉は狭い四畳半にすら響かなかった。
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