side ◯◯

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side ◯◯

「はい、約束通り。ファイルを送信しました」 「そうか、そうか。後は、彼女が見るだけだな」 「そうなりますね」 「服部圭介を信じられなくなる。そうなってもらわないと困るんだよ」 「浦部桃乃の裏切りを恐れていますか?」 男は、目の前にある煙草に火を付ける。 彼女の言葉に男の右の眉が少し上がった。 「服部圭介を守る為に本当の事を吉村里穂に話すと思っておられるのですね」 「彼女は、吉村里穂には話さないだろう。だけど、服部圭介には話すだろうね。種のうちに握りつぶしておけば芽はでないからね。こちらもね」 男が机の上に置いたファイルの中の紙には、【森野】という文字が見える。 「こちらも、種から握り潰して置きます」 「頼んだよ。孤独は、人を疑心暗鬼にさせる。だから、人を疑わせるには孤独が一番なんだよ」 「わかっています」 「今更、計画が終わるのは困るんだ。吉村里穂が動いて、結翔が思い出してみろ。それこそ、最悪なシナリオだ」 「勿論です。そんな事は、避けます」 「この計画を実行するまでにどれだけの時間と費用が掛かっていると思う。失敗は許されない」 「はい」 「じゃあ、こちらも頼んだよ」 「わかりました」 男は、【森野】と書かれたファイルをもう一度差し出す。 煙草を灰皿に押し当てて、ニヤリと笑う。 その歯は、真っ白で。 真っ暗の部屋の中で、浮かんで見えた。
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