Side 桃乃

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Side 桃乃

ブブッ 【問題は解決した。予定通り実行せよ】 家についたのを見計らっていたようにメッセージが届いた。 言われなくてもわかっている。 吉村結翔と生活を共にすればいいだけ……。 「はぁーー。簡単なミッションだし、里穂が大嫌いだからいいと思っていたのに……。圭介に会ったからかな。何だか憂鬱。そうだ」 さっき預かった白い封筒の中身を開ける。 「吉村結翔が好きなものは、シーフードドリア。レシピなんてどうやって知ったんだろう」 ピーンポーン 「はい」 「お届け物です」 「はい」 急いで玄関を開ける。 「サインは結構ですよ」 左胸のポケットに描かれている白鳥のマークを見て指が震える。 「こちら、練習しないといけませんから」 「はい」 「絶対味覚の料理人が見本を作っていますので、その味に近づけてくださいね。人の味覚は、記憶を呼び戻すものですから」 「はい」 「それでは……」 「重っ……」 渡されたダンボールは、90サイズ程だ。 重たくて持って入るのが大変だった。 何とかキッチンっまで持ってくるとダンボールを開ける。 「これが、シーフードドリアね」 今さっき作ったのだろうか? まだ、中身は温かい。 タッパーを開けて、付属についている先割れスプーンでシーフードドリアをすくう。 「美味しい」 吉村結翔が好物だと言う意味がわかった。 口いっぱいに広がるシーフードの旨味。 私にこの味が再現出来るのだろうか? 入れられている調味料を見つめる。 思ったよりもシンプル。 だとしたら、温度なのだろうか? もらったレシピには、事細かに時間が書かれている。 これをきっちり守ったからと言ってこの味にはならない。 昔、カレーの後ろに書いてあるレシピ通りに作ったけれど母の味にはならなかった。 どうすれば、この味になるのか? 私は、食材を取り出して見つめる。 どうにか、明日までにこの味に近づけなければならない。
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