Side 桃乃

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レシピとにらめっこをしながら食材を調理する。 そう言えば、昔から里穂は料理が得意だった気がする。 里穂が作るカレーを圭介が美味しいって食べていた。 だから、こんな手の込んだものが出来るんだ。 私は、料理よりお菓子が得意だった。 料理はどちらかと言うと苦手。 お菓子を作れれば料理が出来るでしょって人もいるけど。 それは違う。 お菓子は、温度管理をきちんとしてくれるから。 私は、たぶん温度管理が苦手。 そんな私が、こんなレシピを再現できるのだろうか? 具材を切り、秤で量を計り、入っていた温度計で温度を計りながら時間を見る。 「よし、出来た」 味見をする。 「まずっ!!全然違う。やり直し」 もう一度、初めから作り直す。 「出来た……まずい」 何がどう違うの? もう一度、一からやり直しをする。 もっと早く言って欲しかった。 一日しか時間がないのに……。 って、明日までにこれ出来るのかな? いやいや、文句言ってても仕方ない。 やり直し。 やっぱり、まずい。 もう、7回はチャレンジしているのに見本のシーフードドリアの味にはならない。 「明日までに、どうにかなる?これ」 食材を見るとチャレンジできるのは、後3回なのがわかる。 後、3回でこの味が再現できるのだろうか? もう一度、レシピとにらめっこをする。 やっぱり、私は里穂には勝てないの? あーー、もーー、どうやったら、この味になるのよ!
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