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父様には母様が居るから良いけど、シーラ様はどんな思いを抱えてアレクサス王子を身篭り、育てたんだろう。
そして、そんな皇太子の身勝手な行動で生まれたにも関わらず、虐げられているアレクサス王子の事を思うと、セイブリア帝国の皇帝が許せなかった。
「いつだって、犠牲になるのは弱者だ」
いつだったか、父様が呟いた言葉。
「だから我々王族が、この命を懸けてでも守らなければならない」
強い覚悟と意志をもった瞳で語る父様の、言葉の重みを改めて理解した。(国の事を語る父様は、本当にカッコイイんだよなぁ~。あの母様でさえ、うっとりとした顔で父様を見ているくらいだからさ)
「……とはいえだ」
ぼんやり考えていると、デーヴィドがポツリと呟いた。
「これ以上、俺の可愛い亜蘭を傷付けるようなら、容赦しないけどね」
デーヴィドが、見た事の無い黒い笑顔を浮かべてそう呟いた。
「デーヴィド……」
「良いか、亜蘭。俺はもちろん、父様や母様。アイシャだって、王宮のみんなもお前が大好きだ」
真っ直ぐに僕を見つめて、デーヴィドが呟いた。
そして僕の手を握り締め
「国交なんかより、お前が大切だ。これ以上お前を傷付けるようなら、アレクサス王子は叩き出す!」
そう宣言したのだ。
そうなったら、一大事だ。
僕はなんとしても、アレクサス王子と友好関係を結ばなくては!と決意した。
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