第二話 青年との出会い

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(この人たちはいったい何者なんだろう)  ソフィーネは改めて彼らを見つめる。  どう見ても普通の市民ではない。  けれども、貴族のパーティーでは見たことがない。  もしもこんな美男子が参加していたら、それこそ大騒ぎになっているはずだ。 「あ、あの……」  ソフィーネは思わず声をかけた。 「ん?」  吸い込まれそうになる綺麗な瞳に、ソフィーネはドギマギしながら頭を下げた。 「お、お礼を言うのが遅くなりました。助けてくださってありがとうございました」 「いや、助けられてよかったよ。死なずにすんでくれてありがとう」  ニコッとほほ笑む青年に、ソフィーネは(なんていい人なんだろう)と思った。 「それよりも、もう帰るところがないんだろう? しばらくここに滞在するといい。このトンプスキン・ダンベルはこの国で一番の金持ちだから、いつまででもいていいよ」  トンプスキンと紹介された中年の男性は「ちょっと殿下、また勝手に」と慌てふためいた。 「殿下?」  ソフィーネが眉を寄せる。  トンプスキンはさらに慌てふためいた。 「あ! いや! えーと……殿下ーじゃなくて、カーディガン! カーディガンでもいかがですかな? お寒いでしょう」  そう言って侍女にカーディガンを用意させる。  特に寒くはなかったが、ソフィーネはその厚意に甘えた。  そんな彼の行動に、青年は「クックックッ」と楽しそうに笑う。 「そういえば自己紹介がまだだったね。僕はリチャード。見ての通り普通の市民だよ」  どう見ても普通の市民ではなかったが、聞くに聞けない雰囲気だった。 「初めまして。私はソフィーネと申します」 「この屋敷は僕の別荘といったところかな」  人懐っこい笑顔でそう言うと、すかさずトンプスキンが訂正した。 「わ・た・しの屋敷です」 「いいじゃないか、僕の別荘って言っても」 「勝手に自分のモノにしないでください」  そんな二人のやりとりを見て、ソフィーネは思わずプッと笑った。 「クスクスクス」  彼女が笑ったことで、ようやくトンプスキンもリチャードも顔を見合わせて笑みを浮かべた。 「よかった、ようやく笑ってくれたね」 「ありがとうございます、リチャード様。トンプスキン様」  ソフィーネは心から感謝した。  こうやって心から笑ったのはいつぶりだろう。 「安心しましたぞ。先程までこの世の終わりのような顔をしておられましたからな。リチャード様がおっしゃってたように、しばらくこちらに滞在してください」 「あれ? やっぱりよかったんじゃないか」 「リチャード様が勝手に決めるのがよくないのです!」  リチャードとトンプスキンのやり取りを見て、ソフィーネはまたクスクスと笑ったのだった。
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