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ローレンスside美貌の友人※
以前から時々顔を合わせていた、下手な令嬢よりも可愛い少年は、辺境伯のご令嬢の婚約式に鮮烈な社交界デビューをした。もっとも、アンドレの目を逸させない美しさに、無意識に毛嫌いする令嬢も居るように感じた。
それは後から考えれば、美しい者、彼女達を脅かすほどの存在に対する本能的な敵対心だったのだと分かる。
けれどそれも仕方がないのかもしれない。大きめのアーモンド型の水色の瞳が小造りの顔を印象的にしている上、黒い衣装に映える濃い金髪が柔らかくうねって、彼は性別を超えた存在感を示していた。
それにしても暫く会わないうちに、いつの間にアンドレはこんなに魅惑的になっていたんだろう。1つ下の筈だが、以前には感じなかった影が何処となくあって、それが一層人々の視線を捉えていた。
今夜は義理の息子とは言え辺境伯が溺愛しているアンドレの社交デビューが許された事もあって、以前なら遠巻きにしていた貴族達もここぞとばかりに声を掛けていた。アンドレはそつなく微笑みを浮かべて、自分の姉の婚約式に来てくれた客達と談笑している。
「…アンドレって昔から可愛かったけど、何かこうして見ると凄いな。いつも控えめにニコニコしてた印象だけど、全然違う風に見える。」
私にそう話しかけて来た同級生が、軽いシャンパンを口にしてアンドレを見つめながら呟いた。
「…変わり目なんだろ。私たちだって色々覚えたのが丁度去年辺りからだっただろう?とは言えアンドレと特に仲が良い令息も令嬢も思い浮かばないけどな。彼をあんな風に大人びさせたのは誰なのかな。」
そう答えながらアンドレの交友関係を思い巡らせたけれど、特に親密な相手は浮かばなかった。自然アンドレに付き従っている世話役の騎士に目が行ったけれど、流石に彼では大人過ぎる。
辺境伯夫人の連れ子ながら、故ブリアン伯爵の一粒種であるアンドレは、複雑なお家騒動があってもなお、将来ブリアン伯爵を継ぐのではないかと大人達が噂しているのを聞いた事がある。
辺境伯や義兄上であるシモン様のガードが強かったのもそのせいかと、子供心に納得したんだ。
同じ伯爵家の後継である私は、アンドレと将来のためにも良き友人になれれば良いと打算も含め考えていた。だから誘った馬場競技の集まりで、思いの外アンドレが無邪気な一面を私に見せたのに気を良くして、私は誘われるままにアンドレと親交を深めた。
何度か家を行き来するうちに、この年頃にありがちなその手の話になったのは自然の流れかもしれない。私もアンドレよりは早かったものの、友人らとヒソヒソと情報交換していた記憶がある。
アンドレは13歳だというのに体格が華奢なせいか、未だ自分で処理をした事がない様子だった。私はアンドレが最近大人びて見えたのは、てっきり誰かにそこら辺の手解きを受けたせいかと思っていたので、驚きを隠せなかった。
一方で、目の前の美しいアンドレが無垢なのだと知ると妙な征服欲が湧き上がって来た。つけ込む様に悩めるアンドレに適当な事を言って、自分で曝け出すように誘導していた。
ああ、男の裸など何の意味もないと思っていたのに、なぜかアンドレの股間は私の目を釘付けにした。未成熟な美しさと卑猥さが入り混じったその姿は、男の誰にも感じたことのないものだった。
…そもそも私は令嬢達が好きだし、手解きは貴族相手のその手の若い女達だ。
まるで誰もがそうしてるかのように言いくるめた私は、アンドレを抱き寄せると後ろから手を伸ばして、その敏感な場所を刺激した。甘い呻き声とため息が耳をくすぐって、アンドレの細い指と重ねた自分の手の中でそれがじわじわと張り詰めていく様が心臓を早くした。
自分は男も守備範囲なのかと妙な発見をして、アンドレから漂う甘い匂いを胸に吸い込んだ。絡みつく様な女の匂いとは違うが、アンドレも良い匂いがする。そんなことに気を取られているうちに、手の中のアンドレのそれはあっという間に弾けた。
私自身、男のものを手淫してやるというのは初めての経験だったけれど、アンドレの手前何でもない様な顔をした。それに顔を赤らめて動揺しているアンドレの姿を見ていると、こんな姿は私しか知らないのだという独占的な気持ちになったのも確かだった。
それ以来私とアンドレは、時々秘密の機会を持った。
手淫ばかりでなく、重ねた体温を感じれば口づけするのも自然な事だった。一度口の中の粘膜を知ってしまえば、お互いに身体中を口づけるのも自然な流れになった。
アンドレのシミひとつない色白の細身の身体に浮き出る、淡い花弁の様な色合いの胸の印が尖ると、私は馬鹿みたいに興奮してそれを舐めて吸い上げた。自分の口に手の甲を押し付けて声を殺すアンドレの姿に、何処か嗜虐的な感情まで浮かんで、私は同時に手淫をしてアンドレを追い詰めた。
紅潮して絶頂の快感で震えるアンドレを見つめながら、私はいきり勃った自分の竿を手で激しく扱いた。飛び出した白濁がアンドレのシンボルや腹、胸を汚すのを息を荒げて満足気に見下す自分がいる事に動揺したのは、最初だけだった。
私の持ち上がったソレをアンドレに咥えさせるのも、反対に私がそうするのも回数を重ねればする様になったのだし、むしろ挿入しない事だけが私達の最後の壁だった。
男同士で最後まで身体を重ね合うための必要な知識が私には無かったし、誰にそれを聞くべきかわからなかった。それにアンドレがそれを怖がっている気もした。
そう迷っている間に私は15歳になって、王都へ進学のために上京する事になった。
大勢の友人らに見送られる馬車の中から、一際目立つアンドレの姿を名残惜しい気持ちで見つめながら私は決心していた。王都へ行ったら、必ず男同士の愛し方を身につけようと。
そして機会を持ってアンドレとその先に進もう。きっと可愛いアンドレも応えてくれる筈だ。そうだろう?
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