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「……どぉ―――しよおぉ!?
勇者がここに来ちゃうよおぉ―――!!
朕たちみんな滅ぼされちゃうんだあぁぁぁ―――!!」
大柄の体を震わせ、その場でじたばた足を動かし落ち着きのない魔王……
この場の魔族たちは特に止めることなく、誰もが顔を明後日の方に向けている。
「おそれながら……えぇい、落ち着かんかい陛下!!
己が取り乱してどうするんだよ!」
「そんなこと言ったってぇ……」
見かねた悪魔伯爵が一括するものの、魔皇帝は落ち着きを取り戻さない。
「だってだってぇ……魔王が勇者にやられちゃうのは世の理なんだよぉ……
朕が逆立ちしたって絶対に勝てない運命なんだよぉ……
あぁ、もうできることと言えば、倒されるときに[どんな断末魔を上げるか]を考えるくらいなんだよおぉぉ……」
仕舞いには玉座にしがみ付き、ガタガタ震えだす始末である。
「おそれながら……これが人類を震え上がらせる偉大な魔皇帝ゾルダークの姿とは思えん……」
そう言いながら、ライリッヒは一冊のファイルを広げる。
「おそれながら……こんなこともあろうかと、対策は既に立ててございます」
「え? そうなの?」
「おそれながら……たまには威厳ある姿に戻らんかい!」
「……そ、そうか……して、その対策とは……」
ようやく落ち着きを取り戻した魔皇帝に、悪魔伯爵が提示したプランとは……
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