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「そんな変形機構はありません」
「え……ないの⁉」
空想を中断された魔皇帝が間抜けな面で驚く中、
「そんな都合の良いシステムなんかつけていませんよ……
なんですか、デビルキャノンって……大体、高さ100mに届かない城が1000mの巨大ロボットなんかになれるわけないじゃん」
駄々洩れの空想を容赦なく叩きのめす腹心に涙目になる魔皇帝……
「じゃあ、ブロック構造でどうやって移動させるのよ!」
「巨大な城はそのままでは移動できませんが、ブロックごとに分ければ移動は可能になります」
「そうか、ブロックが分離してそれぞれが移動すれば……」
一人納得した魔皇帝だが、悪魔伯爵の冷静な説明には続きがあった。
「いえ、移動[する]のではなく移動[させる]のです」
「どう違うのだ?」
「ブロックごとに分解は出来ても、それ自体が移動できるわけではありません。分解した後、それぞれのブロックを我々の手で運ばなければならないのです……」
その言葉に、魔皇帝は愕然となった。
「運ぶって言っても、今、図面を見た限りブロックは500以上もあるのだぞ?
兵卒すべてを動員したって、殆ど無理じゃないか」
「おそれながら……その実現のためには、陛下の[お力]を必要と致します……」
魔皇帝の嘆きを受け、悪魔伯爵は別のファイルを提示する。
「そうは言っても、流石に朕の魔力でも……て、魔力じゃなくて財力!?」
「はい、城の宝物庫を開け放ち、その財力を以て城を運ぶのです……」
そこまで聞いた魔皇帝は、何かに気付いたのか露骨に嫌な顔をする。
「……オミズ建設に依頼する気か!?」
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