ダンジョンバトル

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「ひーん! マスターのばかー! 人でなしー!!」  叫び声を上げながらマーシャは走っていた。  ボヨンボヨンの胸と尻が揺れに揺れまくって、追いかけるオーク達の目を血走らせている。  ーーとにかくお前は奴らを引っ掻き回せ! お前はその外見に反して運動神経はすこぶるいい。アイツらを引きつけてこい!  イェルの作戦とも言えないような命令に従い、マーシャは半べそでオーク達を引き連れて爆走していた。  確かに、マーシャの足は早かった。女を前に興奮したオーク達ですら追いつけぬほどの脚力だ。  そして、ある地点でマーシャはいきなり跳んだ。  その下には、リアの姿がある。 「あーあ、かったるー」  ため息ひとつ。そして彼女の瞳は赤く染まった。 「アタシの前に、男どもは跪く」  それは強制的な魅力の魔力。  絶対の力を持つ魅了の魔術を前にして、さすがのオークも数瞬動きを止めた。 「あーあ、やっぱりアタシ程度じゃこれくらいかぁ。ま、いーや爺さん後よろー」 「お任せあれ」  そこへ躍り出たのは、年老いた骸骨騎士。 「今のワシとて、これくらいは出来るのですぞ」  イーハンはオーク達を次々と昏倒させていく。油断し、女に血迷い、魔力に縛られたオークはイーハンの鋭い一撃によって意識を刈り取られていく。 「ぬぅおう!? 持病の腰がぁっ!」 「は、イーハンさん大丈夫ですか!?」  オーク達を無事倒したものの、自らも絶大なダメージを負ったイーハンに、戻ってきたマーシャがあたふたとする。 「あーあ、年寄りが無理するからぁー、って」  ふと、リアの言葉が途切れる。  その緑に戻った瞳の先には一際大きなオークの姿だ。 「……きたよ、マスター」  リアの言葉に応えるように、イェルもまた姿を現していた。
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