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と大きな陶器の皿で育てられている蓮の花を指差しながら、先生は答えた。
見るととてもきれいな絵である。
「僕は、絵を描くことが仕事なんです」
と先生が言ったので、僕はびっくりし、
「他にも作品はあるのですか?」
と聞くと、
「家にあります」
と先生が笑顔で答えたので、
「見てみたいです」
と言うと、
「かまわないですよ」
と先生は言って、懐に描いている途中の絵を入れて立ち上がった。
家に帰るまでの間、街の人達に何度も先生は話しかけられた。
先生は、誰に対しても丁寧に対応し、話している姿を見て、
(僕にはできないことだ)
と思った。
「ここが僕の家だよ」
と先生は言って、垣根のきれた所から入っていく。
庭の片隅に小さい女の子達がしゃがんで土を見ていた。
一人の女の子が僕達に気づいて、
「優さん」
と言うと、女の子や他の所で遊んでいた男の子達が一斉に先生の周りにやってきた。
「おかえりなさい」
と子供達は口々に言い、
「ただいま」
と先生が言うと、
「優さん、こっちきて」
と女の子達が、先生の手を取って、先程まで女の子達がいた庭の片隅に連れていく。
「優さん、朝顔の芽が出たの」
と女の子達が言ったので、見てみると緑色の小さい芽がたくさん出ていた。
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