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「え、引っ越す?」
「うん」
いつものように窓を開いてにこりと笑う彼。いつもと違ったのは、笑顔がどこか作り物みたいに思えたこと。
「寂しくなるね」
「うん」
言葉では軽く言うけど、相当にショックを受けていた。
この窓が開かなくなる。そんな日が来るなんて。
「いつ引っ越すの?」
「明後日」
「何でそんな急なの? 仲良しなのに?」
「……仲良しだと思ってるから、言いづらくて」
共通の認識で嬉しい反面、やっぱり早く言ってほしかったと思う。
「もう戻ってこない?」
「そうだね。もうここには戻ってこないかもね」
簡単に言ってくれちゃって。
「そう」
「うん」
私はそれ以上話したくなくて、窓を閉めた。
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