フラワーズ・マンション

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五人と共にワゴン車に乗って隣の市にある大型ショッピングモール『アルカリ』へ。 久しぶりの外出に、車の中はトイレをひっくり返したような大騒ぎだ。 「さあみんな!いくよー!」 「わーーー!」 そして駐車場に着くや否や、リーダー格のホワイトが号令をかけ、みんなかけっこのよーいドンみたいに飛び出して行った。かわいい。 当然、お客さん達の目には見えていないのだが。 エンジンを止めた車内は暑い。懐からうちわを取り出してパタパタしながら私はここで待機。 まあ大丈夫だろうが何かあった時の為に、フラワーズの活躍を千里眼で見守る事にする。 早速ホワイトが一階の男子トイレに侵入した。 その直後、駆け込んで来たおじさんが個室のドアをノックする。さあ行けホワイト! コンコン。『はーーい』 この返事がけっこう難しいのだ。 気のせいかな?と思わせる程度に、しかしちゃんと耳に届く様に。 だがさすがベテランのホワイト、上手上手。それでいい。 これ以上やる必要はないぞ。驚かす事と脅す事は違う。そのまま姿を見せずに、次の人が来るまで待つのだ。 お客さんに迷惑をかける事を望んではいない。「アルカリのトイレにお化けが出る」と噂されて、少しだけ遠のいた客足が昔の様に商店街に戻ってくれればいいのだ。 首をかしげながらおじさんが隣の個室にスライドしてノックする。 コンコン。「へーーい」 おいこらホワイト、もういいと言うのに! しかし、お出かけして上機嫌の彼女はそのまま『うぇーい』『あいよー』『いやーん』とノリノリで返事を続け、おじさんはとうとうトイレの外までスライドして血相を変えて逃げ出した。 おいおいやり過ぎだよ! おっと他のみんなは?
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