第2話「一度でもいい、なんて思ってしまった」

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※  ……抑えていた気持ちが、突然膨れ上がって。  動けない。  ぬるぬるしたものに濡れた涼真の指が、後ろを慣らし始める。  痛くない。気持ちいい。  それ位――――二人は、そういうことをしてたんだ。 「……っ」  気持ち良いほど、なんだか胸の奥が痛い。  涙が、滲んでくる。 「――――入れるぞ?」  涼真の声がして。  脚を上げられて。 「――――あっ……ぅ」  中に入ってすら、痛くない。  ぞくぞくした快感。  男なのに。翼の体、男なのに。  こんなことして、こんな風に気持ちイイしかない、とか。  ――――どんだけ……シてんだよ、馬鹿。 「……っぁ……! ぅ、んっ……っふっ……」 「………っ」  慣れてるから、痛くないんだろうけど。  ……もう分からない。オレが、中を突かれる感覚は、初めて受けたものなのに。  中を擦られて突かれる度に襲う訳の分からない快感が、全部を支配する。 「りょ、ま……っ……りょう、ま……!」  縋るものが欲しくて、ぎゅ、と抱き付いたら、汗ばんだ涼真の体が、熱くなった気がした。 「――――翔……」  ……え?  「……翔」  え。 ちょっと、待って。  ――――ばれた? え? 何で? 「りょう、ま……っっんっ……っ」  その瞬間、激しく、唇が塞がれた。   舌が絡めとられて、喘ぎが漏れる。 「ふ……っん、ん……」  初めてなのに、こんなに、気持ちいいのは……涼真と翼が、こういうこと何度もしてて……翼の体が、慣れてるせいで…………。 「翔……」  分かんない。  さっきまで、翼って言ってたのに。  間違えて呼んでる?  ……でも、もう長い事、オレの名を呼んでない涼真が、間違えてオレを呼ぶはずが無い。  何で、翔って、言うんだ……? 「……りょうま――――……あ……!」  激しい動きと、溶けそうな熱いキスに翻弄されて、翼の体が、達したのが分かって。  はあ、と息を整えようとしてるのに、再び覆いかぶさられた。 「……ごめん、続ける」 「……っ………あっ……んんっ」  さっきよりも深く、突き上げられる。  激しすぎて。 懸命に耐えるけれど、無理で。噛みしめる唇の間から、声が上がる。 「……翔…………」  囁かれて、キス、される。 「りょうま……ぁ……」  名を呼ぶと。  切なくて、涙が零れる。  激しい、嵐みたいな。  翻弄されまくる時間が――――長く、続いた。 (2024/5/12)
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