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※
外の明かりが窓から入ってるのでそこまで真っ暗ではないが。
え?
事態が分からなくて、固まってるオレの前で、涼真が着ていたTシャツを脱ぎ捨てた。
男っぽい、体。なぜか、心臓が、ドキン、とした。
え。――――つか、何で、脱いでんの。
強張ってるオレに、近づいてきて。涼真はオレを、ベッドに座らせてそのまま、押し倒した。
「翼、なんか、趣味悪いな」
「……っ?」
ちょっと怒ってるみたいに見える。
「翔の真似とか、すんなよ」
――ずき。
なんか胸が痛い。
硬直してるオレに触れて。
……いや。翼の体に、触れて。 涼真は、服を脱がせてきた。
え。何これ……。
固まりすぎてて。抵抗も出来ないまま。上半身裸になっていた。
閉じられた窓、消された電気、服を脱いだ涼真にベッドの上に押し倒されて、服を脱がされて。
……翼が言ってた、全部納得済みって。
大好きだから、関係壊すなって。
……全部、体は翼のだから、って…… え。こういう、意味?
え、オレに、これを、耐えろって、言ったの??
――嘘、だろ……?
呆然として、動けないオレ。
ふいに、涼真の唇が、首筋に這う。驚いて、びくん!と体が勝手に跳ねた。
「……そんなに首、弱かった?」
ふ、と笑われて見つめられる。……男っぽい、涼真から、目が離せなくなる。
涼真が、何度も首筋にキスしながら、体の色んな所に、触れて。刺激して。
強張って戸惑ったまま、体の熱だけがどんどん上がっていく。
「……ん、……ふっ……」
声が、勝手に、漏れ始めた。
なん、だ、これ。
涼真と翼……こんなこと、して、たの?
オレと離れたのは……翼のこと好きだったから?
……最近二人が会うようになってたのは、こういう関係になったから?
「……っあ……!」
涼真の手が、オレに……じゃなくて。翼のそれに、絡んで。激しく刺激する。
こんな状況でも感じるのは、翼の体が、涼真に慣れてるからなんだろうか。
勝手に声が上がって、こらえようと唇を噛みしめる。
「……んんぅ……ふっ」
「……いつもみたいに、言わねえの? エロい言葉」
……っ言えるかよ……ばか……!
唇を手の甲で塞いで、涼真から顔を背ける。
「……翔っぽくしてンの?」
そんな風に言う涼真の声は、少し、怒ってる気がする。
急に激しくされて、あっという間に達してしまった。
「早いな、今日」
「――――……っ」
ほんとは、蹴り飛ばして、逃げたい。
でも。
翼が、大事にしてるから、絶対壊さないでと言ってたのと……。
――――違う。それじゃない。
もう分かってる。オレは馬鹿だって。本当、死ぬほど馬鹿だって、分かってる。
こんな風に、オレに……翼だけど、でも、今は、オレに。
触れて、見つめてくる涼真に……。
…………抵抗、できない。
翼の、かわりでも。
一度だけ、でも。
馬鹿すぎる自分に、涙が滲む。
(2024/5/11)
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